COLUMN ・ 2020-12-04
AHAMOの衝撃——通信業界の市場構造が変わる
権 成俊
NTTドコモが発表した新プラン(ブランド?)AHAMOには、いろいろと驚きがありました。
総務省の値下げ要請に対して、格安ブランドを持たないドコモはどうするのか、ということは言われておりましたが、予想以上の値下げでした。
もう通信料で稼ぐ時代は終わる
一番シェアが高いドコモが業界の市場構造を壊す価格を提示してきた意味は、もう通信料で稼ぐ時代は終わる、ということを意味しています。
2025年には5Gが標準になると言われていますが、そこに向けたIoT、通信ベースのサービスの多様化と課金に取り組むということでしょう。それまでに、コストをかけて顧客基盤を増やしておく、ということだと思います。顧客基盤は家電をはじめとしたIoTパートナーとのアライアンスを後押ししてくれる材料にもなります。
新しい自由競争に向けて、よーいドンの号令がかかったと感じます。
ドコモの本当の課題
しかし、本来、自由競争は3キャリアの中でドコモが最も不得意とするところです。
ドコモが競争に勝ち抜くためには、いまの顧客基盤を維持しながら、自らの社風を否定し、イノベーティブな組織に生まれ変わる必要があるでしょう。
NTTとの合併から、その流れは始まっていると思います。ドコモの話ではなく、NTTグループ全体として、生き残るために自らが変わるしかない、という覚悟をしたのだと思います。記者会見において、社長と一緒に登場した二人の若手。痩せていて、カジュアルで、世代交代を感じさせるものでした。とはいえ、まだまだ新しい印象は弱いですが、彼らなりの覚悟を感じました。
ウェブ業界はどう考えるか
さて、この大きな業界の流れの変化の始まりを受けて、ウェブ業界のプレイヤーとしては何を考えるべきでしょうか。
スマホを使ったサービスは乱立しますから、サービス開発の要望も増えるでしょう。5Gの通信速度になると、サービスの幅も変わります。つながり続けること、遅延がなくなることを考えると、ビデオ会議もスマホで十分となってくるでしょうし、コミュニケーションの形が大きく変わります。速度の遅さを補うことが目的であった、スマホアプリの時代も終わるでしょう。
そんな中で、何かに特化したポジションを築いたほうがよいと思います。
ワールドクラスのサービスは育ちにくい環境になります。市場が成熟し、より局地戦のシーンが増えてくるでしょう。そう考えると、ローカルで、小さな仕事に強みを持ったほうがよいです。これは、マイケル・ポーターがECの未来として語った、ローカルな産業クラスターを作ることにも似ています。
これからは、いかに競争にさらされにくいビジネスを作るかが、ますます重要です。
UX、CXデザインの経験が豊富なウェブ業界の人材は、ますます活躍の場が広がりそうですね。