COLUMN ・ 2026-05-05
「AIで簡単に儲かる」という勘違い
権 成俊
「AIで簡単に儲かる」という勘違い
AI が登場してから、「AI で簡単に儲かるビジネスモデルを作ろう」という人が一気に増えました。
業務自動化支援サービス、AI 活用コンサルティング、AI を組み込んだ SaaS。確かに今は需要があります。引き合いも多い。
けれども、私はそういう方々に、そっと一言だけ申し上げています。それ、たぶん1〜2年したら苦しくなりますよ。
ネット通販ブームと同じ轍
これは、ネット通販ブームの時にも、まったく同じことが起きました。
ネット通販は新しいイノベーティブなビジネスモデルでした。多くの人に、参入のチャンスが与えられました。早く始めた人は確かに儲かりました。何でも売れた時代です。
ところが、参入障壁が低いビジネスモデルで、スピードと量で勝とうとしてもうまくいかない。これは市場成長曲線の話でもよく出てきます。
景気の良い時に始めた会社は、だいたいすぐに潰れる。景気の悪い時に始めた会社は、長く続く。これも、まったく同じ構造の話です。
景気の良い時は、消費者の財布の紐が緩んでいて、差別化されていない商品でも何となく売れます。けれども景気が悪くなると、自分にとって本当に重要じゃないものは買わなくなる。差別化されていないビジネスは、ここで一気にふるい落とされます。
ネット通販も、最初の頃は何でも売れました。やがて参入が増え、競合が増え、利益率が下がる。差別化できていないものは、価格競争に巻き込まれて利益が消えていく。
AI でも、同じことが起きる
AI でも、まったく同じことが起きます。
「AI で経理を自動化しませんか」「AI で集客を効率化しませんか」とサービスを売る人がたくさんいますが、それを使うこと自体は遠くない未来に当たり前になります。サービスの値段は下がり、提供者は増え、利益は薄くなっていく。
それは絶対に悪いとは言いません。短期間で終わるからこそ、その間に何かを作り上げる足場として使う、というのはあり得る選択です。
特に、資源のない若い人や小さな会社にとっては、いきなり差別化された事業を立ち上げるのは難しい。だからまず、AI のチャンスに乗って何かを始めてみる。その中で次のステップを探す。これは正しい選び方だと思います。
ただし、走りながら次を準備せよ
ただし、ひとつだけ条件があります。
早々に次のステップに切り替えるための準備をしながら走ること。
最初の事業で半年や1年食えるようになったら、それをゴールにしないでください。それは足場です。足場の上で、本当に自分たちが立ちたい事業を考え、調査し、組み立てていく。
「AI で簡単に儲かるビジネス」がブームになっている今は、皮肉な言い方をすれば、その先を考えていない人が多くて、競争相手が後ろ向きになっている時期でもあります。だからこそ、走りながら次を見ている人に、後から追い抜かれていくのです。
簡単に儲かることを掴むのは悪くない。けれども、それを掴んだ瞬間に、次の事業の足場づくりを始めてください。
そうでないと、いずれまた「半年早いだけ」のレースに巻き込まれます。