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COLUMN ・ 2017-03-03

新著『なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?』全6章を語る

権 成俊

新著の全体構成は、第1章が戦略について、第2章から第6章がそれをマーケティングに落とし込む方法についてご紹介しています。

各章の見どころと、それぞれの章を担当してくれた著者について、一気にご紹介します。

第1章 戦略でマーケティングのすべてが変わる

戦略が重要だとは言うけれど、戦略って何なのか、そしてなぜ重要なのか、ピンと来ていない経営者さんも多いと思います。

戦略というと特別な手法のイメージを想像するかもしれませんが、平たく言えば、長期で考える、全体で考えるということです。大きなスケールで物を考えることで、重要なことと無駄なことが明確になり、マーケティングのやり方はガラッと変わります。

机の前で考えるというだけではありません。現地・現物・現人が重要です。それを掘り起こし、具体性を持たせるのが、第2章の調査・分析です。

第2章 調査・分析でお客様を知る、競合を知る(担当:村上 佐央里)

「戦略を立てても、どうせその通りにはならない。」

そう思う方は、調査分析が足りないのではないでしょうか。

「そうはいっても、中小企業に調査分析のお金なんて払えない。」

いえいえ、そんなにコストがかかることではありません。

調査というと統計調査をイメージされる方が多いですが、実際のお客様や見込み客に話を聴くだけでも調査ですし、競合の商品を集めて比較するだけでも調査です(一般的に定性調査といわれます)。

なんでもデータを集めればよいということではありません。自分たちが知りたいことを知るために、足を運んだり、人に会ったりしてみましょう。これが現地・現物・現人です。

その結果、誰もが「こういう方には絶対にこれが売れるはず!」と思えるなら、戦略の成功確率が高まります。明快で、魅力的で、信頼できること——これが戦略の品質であり、それを支えるのが調査分析なのです。

第3章 集めるから集まるへ──シンプルなSEOの考え方と、SEMを中心としたユーザーシナリオ分析(担当:木村 純)

私がSEOの本を書いたのは2007年。その本をきっかけとして、木村さんと出会いました。

当時はSEOというと内部要素が大きな影響力を持っていましたが、私たちはSEOそのものよりも、その検索前後のユーザーのシナリオのほうが大事である、という点で共通の考え方を持っていました。その点で、SEOの専門家というよりも、SEMの専門家です。

それから10年がたち、SEOという言葉が意味するところも、外部リンクであったり、テキストコンテンツであったり、変遷してきました。最近では質の高いコンテンツを作ることがSEOである、という考え方が多かったですが、いまやコンテンツという表現もやや古く、総合的なユーザーの満足度に焦点が移ってきています。

しかし、SEOの情報は巷に溢れすぎていて、専門家の発信する情報も、古いままアップデートされていないことが多い。いま私たちの顧客はみなビッグワードで1位、1ページ目に表示されていますが、やっていることは巷で言われているSEOとは全く違います。

この章では、私たちが実際に成果を出している、ユーザーの興味を掘り下げ、ウェブサイトの満足度を高めるための考え方について紹介しています。

第3章扉絵:「毎日更新しないとだめですよ」「とにかく文字数を増やすことです」「リンクを獲得するようにしましょう」「メタタグをきちんと書いてください」と4つのSEOお化けに囲まれて頭を抱える人物のイラスト

第4章 これからのリスティング広告──自動化とテストマーケティングの時代(担当:鳴海 拓也)

鳴海さんといえば、Google AdWordsトップコントリビューターとして知られています。

その鳴海さんが、**「リスティング広告の運用スキルによる成果の差はほとんどない」**と言っています。日本でTOPといわれる方が、自らそれを言うことの衝撃。リスティング広告は新しい時代に入ったと言えるでしょう。次のマーケティングイノベーションが始まるのです。

だからこそ、自動化を推奨されています。当社としても、まさに自動化に切り替え始めたところで、そこに人を張り付けなくてもよければ、コンテンツやサイトの改善に人手を割くことができる

リスティング広告の管理画面を見ているだけではできない施策がいろいろとあることに気づかされます。リスティング広告を運用している方、代理店、自社運用にかかわらず、必読の内容です。

第4章 図7:商品1個あたりの利益シミュレーション表。販売価格・粗利・広告費・1個あたりの利益・販売数・総売上を、従来設定/CPAを1500円にした場合/値下げした場合の3パターンで比較

第5章 戦略コンテンツとガイドコンテンツ(担当:春日井 順子)

当社は2007年のEC本を執筆後、SEOやリスティング広告の限界に直面し、もっと長期で貢献できる方法はないかと模索していました。そこで取り組んだのがコンテンツです。

コンテンツはサイトをリニューアルしても継続して使えますし、シングルソースマルチユースできます。長期で使え、何度も使えるので、費用対効果が高いのです。

しかし、コンテンツには一見セオリーがなく、「お客様の求めるコンテンツを創ろう」という意見が多いですが、実際はそれをやり始めるときりがなく、ついつい効率の良いテキスト中心のコンテンツになりがちです。

そこで、私たちはコンテンツについてのセオリーを作り上げました。それが戦略コンテンツとガイドコンテンツです。CVRを高めながら、結果的に強烈なSEO効果もあります。

「いま一番費用対効果の高い施策は何か」と問われたら、私は「戦略コンテンツを作ること」と答えます。

第5章 図1:ラブレターで考えてみると。伝えたいメッセージ(ハート)を、コンテンツ(ラブレターの文面)にしてウェブサイトで届ける、というメタファー

第6章 売れるウェブデザインは戦略を映している(担当:佐藤 晶子/後藤 裕美子)

最近では、デザイン思考とか、戦略のデザインという言葉があるように、経営戦略・事業戦略とデザイン(具体的な形を企画すること)は直結していると考えられています。デザインは戦略に従う、ということです。

海外では、コンサルティング会社や広告代理店がデザイン会社を買収する例が増えているのもそのせいです。戦略と結びついてこそ、デザインの価値は高まるのです。

第6章 図1:ユーザーが本当に見ているものは……。ユーザーは表層を通して「メッセージ」を受け取る。デザインはメッセージを伝える媒体である、というモデル図

しかし、日本ではそう認識されていません。ウェブデザインに限って言えば、日本にブロードバンドが普及し始めたときに、すでにDreamweaver 3.0が入ってきており、戦略や設計のムーブメントが起きる前に表層を創れる人たちが一気に増えた、というのが、表層の議論だけを活発化させた一因だと思います。

しかし、日本のウェブ業界もそろそろ過渡期にきました。もはや作れば成果が出る、という時代ではありません。「何を創ればよいのか」、これを真剣に考える時期です。

私の知る限り、9割以上のウェブデザインは戦略が与えられないまま作られていると思います。そんなとき、デザイナーは自分の脳内のお客様、競合、強みをもとにサイトをデザインするしかありません。いわば妄想をデザインしているだけです。妄想にもとづくデザインは成果を生まず、結果的にウェブ制作会社の収益を圧迫するのです。

ウェブデザインの現場から、そういう仕事がなくなることを望みます。デザインの要件が戦略に基づいていること——これが当たり前にならないと、ウェブ業界は破綻するでしょう。

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