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デジ革 一般社団法人デジタル経営革新協会
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COLUMN ・ 2026-04-26

作業に逃げるな

権 成俊

以前お世話になった大変優秀なデザイナーさんは、ウェブデザインをするときにほとんど手を動かさず、デザインを見ることにじっくりと時間をかけていました。少し触っては、腕を組んで数十分も考えるのです。1ページをデザインするのに数時間かけていましたが、ツールに触れる時間はわずかでした。

一見すると、のんびり仕事をしているようにも見えますが、実際は彼の頭の中では、すごいスピードで思考が巡り、よりよいクリエイティブのためのシミュレーションが繰り返されていたことでしょう。

逆に、ずっとツールを動かしている人はとても忙しく仕事をしているようですが、思考よりもツールの操作がボトルネックになり、頭の中は休んでいる状態が多いと思います。こういう仕事をしていると、手はたくさん動いているので、本人的には「働いている」という実感がありますが、よくよく見てみると、作ってみて、間違いに気づき、結局やり直す、という無駄な作業がたくさん生じてしまうのです。本当は、もっとじっくりと考えて、ゴールを見通してから作業をしたほうが効率が良いのではないでしょうか。

これはデザイナーに限った話ではありません。

知的労働をするすべての人に同じことが言えます。企画書を作ろうと思うと、ついついプレゼンテーションツールを立ち上げてしまう。そんな方が多いでしょう。しかし、それは設計図も書かずに家を建てるようなものです。設計図も書かず、いきなりのこぎりや金づちを持って動き始める大工さんに良い仕事ができるとは思えません。

経営も同じです。

経営戦略のシミュレーションを十分にせず、本当にうまくいくのかどうかを見通さないまま経営をしている方が多いのではないでしょうか。

もっともっと、考えることに時間を割きましょう。

私の場合は、デザインでも企画でも、ほとんどの時間は紙とペンを使って考えています。そして、ある程度固まったら、マインドマップツールで優先順位や大小感を整理し、実現までのイメージを見通してから、初めてツールに触れます。デジタルで資料を作成せず、手書きの殴り書きの資料をコピーして配布することもしばしばですが、それができるのは、内容に価値があると考えるからです。

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