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デジ革 一般社団法人デジタル経営革新協会
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COLUMN ・ 2017-10-12

ism設立趣意にかえて

権 成俊

「この事業を今のまま続けていては、危ないのでは……」

経営者はもちろん、ある程度のキャリアを積んだビジネスマンだったら、一度は危機感を感じたことがあると思います。

そうは思いながらも、自信を持って打ち出せる次の一手が見つからず、もやもやしながらも、「何とかなるのではないか」と今の事業を続けている方が多いでしょう。目を背けたい気持ちはわかります。

しかし、これまでのようなやり方を続けていても、好調だったころの売上が戻ってくる可能性は限りなく低い。むしろさらに悪化する可能性が高い。それが実態です。

価値と顧客から見直す

いま、さまざまな業界に大きな変化の波が訪れています。既存の枠組みを超えた競合の参入、大手同士の合併や買収、お客さまのライフスタイルの変化、スマホやタブレットの普及など。

変化に適応するには、自分たちの事業を根本的に見直すしかありません。「価値」や「顧客」から見直す必要があります。

たとえば物販であれば、仕入れた品物をただ販売しているだけではこれからは通用しません。自分たちでオリジナル商品をつくるか、お金をいただけるレベルのサービスを提供する必要があります。

私自身の20年

私自身も同じような経験をしています。

私がウェブの仕事に携わりはじめたのは、社会人になって2年目の1998年ごろです。業界に身をおいておよそ20年、そのときどきの必要に迫られ、いろいろなウェブマーケティング分野の専門性を磨き、仕事のテーマは絶えず変わってきました。ウェブサイトの企画、検索キーワード調査、SEO、リスティング広告、Google アナリティクス、ウェブサイトの構造設計、コンテンツ企画、ウェブ戦略立案……などなど。

変化していった理由は、「ウェブで事業を成功させるためには何が必要なのか?」という問いへの答えが、自分の中で変わっていったからです。

一時的に成果に貢献できても、2年もすればその効果は低下し、また同じ状況に戻ってきます。環境が目まぐるしく変化する中で、サイトを常に最善に保つことは難しく、たとえできたとしても膨大なコストが掛かります。最適解をその都度探していく対症療法的なものでは、長く利益に貢献することは難しいのです。

いま必要なのは、根本的な解決方法です。

「選ばれる理由」がある

それでは、いったい何を解決すれば、以前のような売上が取り戻せるのでしょうか。

私がたどり着いた答えは、インターネット上で比較されたときに、「選ばれる理由」がある、ということでした。

もっと長期の視点でみれば、「選ばれる理由」を作り出し、維持し続けるための「価値観」「戦略」があるかどうかです。サイトが多少使いづらくても、コンテンツが不十分でも、人が集まってきて、買いたくなるような商品、サービスが提供できること。経営者がそのための「価値観」「戦略」を持つことが、ウェブで事業を成功させるためにいま最も必要なことだと思っています。

ビジョンが「ミッション」になるまで

しかし、商品やサービスを開発するには、大きな覚悟と、継続的な取り組みが必要です。多くの経営者は、可能性を感じながらも、短期的な収益の減少に不安を感じ、やり抜くことができません。

お金を追いかけているうちは、それを失うことを恐れて、本当にリスクを背負うことはできないのです。

それができるかどうかは、経営者の「ビジョン」が損得を超えた**「ミッション」と呼べるレベルまで成熟しているかどうか**にかかっています。

価値観の枠組みを打ち壊す

私は経営者さんとお話をしながら、業界外の素人の目線で、事業の可能性についてアイデアを出します。しかし、多くの経営者さんは「それは難しい」「それは自分の価値観に合わない」と自ら可能性を放棄します。

自分自身の価値観で受け入れられる範囲で、新しい可能性を見つけたい、ということなのでしょうが、それをやりつくしたからこそ変化が必要なのです。

変化のためには、自分自身の価値観の枠組みを打ち壊す覚悟が必要です。自らの価値観の枠組みに固執して、お客様や社会のニーズを見失っているようでは、いつか市場から退場させられるでしょう。

ときに、経営者は覚悟があっても、「変わることは出来ない」という従業員を守り続けるために、経営者が変化を拒むこともあります(私自身そんな時期がありました)。しかし、それは正しい姿勢ではないと思います。社会の資源である人材を預かっている以上、従業員の可能性を信じて、共に歩むべきではないでしょうか。

経営者は率先してお客様や社会のニーズを汲み取り、従業員にビジョンを示して、変化する勇気を育て、支えるのです。変化の中にはリスクと同時に必ずチャンスがあります。 視点を一段高くして、もっと大きな枠組みで事業を見つめなおしましょう。じつは、すぐ近くにチャンスがあることに気づくはずです。

なぜ ism を始めたか

2010年ごろまでは、自分たちはウェブ業界の中で優位なポジションを築いたと思っていました。ウェブマーケティングのあらゆる分野で第一人者と認められ、当社への依頼は常に2年待ち。それが経営的に良い状態であると思っていたのです。

しかし、お客様の課題を根本的には解決できていないことに気付きました。私たちの支援している範囲は経営のごく一部であり、もっとも重要な部分に踏み込んでいないと感じるようになりました。

だからこそ、ismという組織を立ち上げたのです。**ismは、社会に貢献するために自らの役割を全うしようとする「それぞれの価値観」**を意味しています。

いまの私の仕事は、経営者さんの価値観を一緒に掘り起こして、ミッションを確認し、ビジョンに具体性を持たせ、戦略を導くことです。そして、収益の柱だったノウハウや技術は積極的に公開し、業界全体で共有するようにしています。その甲斐あって、いまは以前よりもお客様や社会に貢献できていると思えるようになりました。

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