COLUMN ・ 2013-06-06
八方美人からの脱却
権 成俊
決意すれども、決断できず
昨日、アベノミクス第3の矢、成長戦略が発表されました。しかし、内容は予想された法人減税や小粒なものにとどまり、市場の評価は低く、株価を下げました。特に大きな成果につながると期待された以下の政策は、すべて見送られました。
- 法人税減税
- 解雇規制の緩和
- 企業の農地所有の自由化
- 混合診療解禁
見送られた理由として、それぞれに関係する利権団体の発言権が大きく、選挙に影響するから、という見方があります。
金融緩和、財政出動という2つの矢には、決意だけで放つことができました。しかし、3本目の矢には決断が必要でした。アベノミクスは「決意すれども、決断できず」であると感じます。
リーダーシップは八方美人にはできない
社会を大きく動かそうとすると、関係する人の立場や所属する組織によって、一方にとってはメリットがあっても、一方にとってはデメリットがある、という事態が生じます。
そんなとき、リーダーは社会全体のビジョンを明示し、一部の人に痛みを受け入れてもらう説得、交渉をしなくてはなりません。誰かに(短期的に)損をしてくれ、と説得するのです。それがリーダーシップです。
選挙においては選挙権を持つ全員に良い顔をする必要があるでしょう。しかし、社会を大きく動かそうと思うと、必ず利害の対立が起きます。そんなとき、ステークホルダー全員の意見を聞いて調整をしようとすると、大きな変化は望めません。自身が率先してリーダーシップを示し、周囲を巻き込み、説得する、というやり方をしなければなりません。それを成功させるには、常日頃の信頼関係づくりが必要です。
八方美人になっていないか
ビジネスの現場でも、ついつい八方美人になってしまうことがあるでしょう。お客様やパートナー、上司、社長がやっていることがよくないと思っても、それを言えない。
その場ですぐに言えないと、暗黙の裡に承認した、という認識が自他ともにつくられ、いざというときに自己否定になるため、NOと言えなくなります。普段から、自分の価値観を研ぎ澄まし、人の価値観に敏感でなければなりません。
誰とでも仲良くしている方がいざというときに助けてもらえる、と思っている人がいますが、実際はその逆です。本当に何が正しいのか、自分のポリシー、正義は譲らない、という姿勢が、周囲の信頼を獲得し、いざというときに仲間ができ、助けてもらえるのです。
君子は和して同ぜず
「子曰く、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」と言います。
本当に人と親しくするからこそ、八方美人にならず、自分のポリシー、ブランドを発信すべきです。環境変化の速い今だからこそ、リーダーが必要な今だからこそ、重要なことではないでしょうか。