COLUMN ・ 2014-04-14
オムニチャネルの時代④ それぞれの立場から見たオムニチャネル
権 成俊
オムニチャネルの時代④ それぞれの立場から見たオムニチャネル
オムニチャネルは小売大手の戦略か?
環境変化とデバイスの変化によって、消費者は実店舗とネットの垣根を越えて消費行動を行うようになりました。 それに対応しようとする動きがオムニチャネル化(チャネルの統合)です。
オムニチャネル化というと、通常は商品データベース、顧客データベースを統合し、在庫や流通経路、ユーザーとのコミュニケーションを全体から考えなおすことです。 先に述べたメーシーズの在庫の一元化によるコスト削減や、セブンイレブンがネットとリアルの注文状況をまとめて把握し、流通を効率化することです。
これらの事例を見ると、実店舗を持つ大手小売店にとっての施策であるように思うでしょう。 しかし、オムニチャネルの流れはもっと大きなものです。
小規模実店舗の対策
小規模な実店舗はオムニチャネル時代にどのように取り組むでしょうか。 おそらく、小規模店舗でもネットで購入できる窓口を持つでしょう。 消費者のニーズを感じること、そして競合がその方向に動いていることを見て、興味を持たないはずはありません。 それでも小規模店舗には難しいと思う方もおられるでしょうが、それほどハードルは高くありません。 ネットスーパーを見てください。 大手が高度なシステムでやっているだけではありません。 地元で2・3店舗しか構えていないような小規模スーパーでも今やネットで注文できるのは当たりまえです。 特に高度なシステムを持っているわけではありません。 簡単な注文フォームで欲しい商品を連絡すれば、受注した店舗がそれを印刷してピックアップして配達してくれるだけです。 簡単に言えば、ネット出前です。 このくらいのことなら、小規模店舗でも可能です。
メーカーの対策
次に、メーカーにとってのオムニチャネルを考えてみましょう。 消費者がモバイルデバイスでいつでもどこでも商品情報を収集し、また購入できるようになります。 そこへ流通各社が実店舗とネットショップの両方で購入できる窓口を持った時に、メーカーA社はどうするでしょう。 やはり直販をするのではないでしょうか。 なぜなら、流通網が崩れ、自社の優位性が失われるからです。
セブンイレブンのように、あらゆる小売店がネットと連動することで、あらゆる商品を取り扱えるようになります。 そうなると、これまで自社の商品をメインで扱っていた問屋の売り上げは減少するでしょう。 そのとき、その問屋は、セブンイレブンと対抗するために、A社以外の商品も扱うようになります。 足りない売り上げを補てんするためでもありますし、品揃えで負けないようにするためでもあります。 この状況が進むと、すべての問屋、小売店にとって、A社に対する依存度は薄れていきます。 誰もA社の商品を頑張って売ってくれなくなるのです。 A社の商品を売ってもらうには、消費者がそれを求めるようにならなければなりません。 そのためには、A社自身が直接自社の商品を啓蒙する必要があります。 そしてそれが出来るのであれば、消費者への販売も中間流通に依存する必要性は無くなります。 直販をする方が効率が良いのです。 これはパソコンメーカーのような状況です。 かつてDELLがネットでパソコンの直販を始めたとき、多くのPCメーカーがそれを脅威に感じました。 自分たちもネットで直販をする、という選択肢もありましたが、多くのメーカーは、自社の契約代理店に対して、「私たちは皆様とともに歩みます」というメッセージを発しました。 しかしそれから数年たつと、すべてのPCメーカーが直販をしています。 これはまさに上記のような流れがあったのです。
ネットショップはどうする?
ネットショップにとってはどのような影響があるでしょうか。 ここまで読んでいただければわかると思いますが、オムニチャネルの時代に最大の危機が訪れるのはネットショップです。 なぜなら、すべての流通がネットショップを持つからです。 つまり、ネットで買える、という優位性は完全に失われます。
もともと消費者がネットで購入する理由がいくつかありました。
・買いに行くのが面倒だから ・近くで手に入らないから ・安いから ・品揃えが豊富だから
しかし、このすべての強みが失われるのです。 他のお店でもネットで注文して配送してくれるようになります。 他のお店でも同じ商品を扱うようになります。 もっと安いお店が見つけやすくなります。 もっと品揃えの多い店が増えてゆきます。
ネットショップにとって、これまで選ばれる理由だったものが失われてしまうのです。 ネットショップはこれからどうすればよいのでしょうか。