COLUMN ・ 2026-05-05
戦略の民主化 ── AIで誰もが戦略を立てられる時代
権 成俊
戦略の民主化 ── AIで誰もが戦略を立てられる時代
AI 時代において、戦略の本質的な部分は何も変わっていません。
上流から考えること、全体設計をすること、「これなら勝てる」という設計を組み立てること、その下に AB3C というくさびを打ち込んで一気通貫でマーケティングを実行すること。これは、私が15年以上前から繰り返し書いてきたことであり、書籍にも体系化してきました。AI が登場しても、ここは揺るぎません。
ただ、ひとつだけ大きく変わったことがあります。
それは、戦略を立てる側の人の数です。
戦略立案は、これまで限られた人の仕事だった
戦略を立てるという仕事は、本来とても手間のかかる作業です。
調査・分析だけで何ヶ月もかかる。市場規模、競合、自社の強み、顧客のニーズの動向。客観的なデータを集めて、それを構造化して、初めて戦略の議論ができる土台ができる。
この作業を、自社でやれる中小企業はほとんどありません。専門のコンサルタントに依頼すれば、それなりの費用がかかる。だから多くの会社は、戦略を立てないまま「とりあえず売上を上げよう」「集客を増やそう」と、目先の施策に走っていました。
戦略は、長らく ごく一部の人の特権だったわけです。
AIによって、ハードルが下がった
ところが、ここ数年の AI の進化によって、状況が変わってきました。
まず、調査・分析の作業が、AI でかなり簡単になりました。インターネット上のキーワード検索の傾向、競合サイトの情報、ソーシャルリスニング、レビュー分析。これらを集めて構造化する作業は、以前なら何週間もかかっていたものが、AI を使えば数時間で済むことすらあります。
さらに、私たちが提供している戦略指南 AI のような特化型ツールであれば、AB3C 戦略を組み立てるところまで AI が補助してくれる。AB3C のフレームワークが「思考のくさび」として機能して、AI の発散を抑え、自社らしい戦略の輪郭を描くところまで持っていけるのです。
これが意味するのは、戦略を立てる側に回れる人の数が、桁違いに増えたということです。
戦略の民主化、その兆し
リリースしてからまだ1ヶ月にも満たない戦略指南 AI ですが、すでに兆しは見え始めています。
ある会員の方は、半額キャンペーンの最終日に10本のライセンスを購入し、翌日には早速、見込み客のウェブサイトを分析して、AB3C の戦略レポートを営業の提案資料として送付しました。すると当日のうちに、10件中2件から「詳しい話を聞きたい」「改善を提案してほしい」という返信が返ってきた、という報告をいただきました。
20%のレスポンス率です。営業手紙のレスポンス率としては、極めて高い数字です。
これは何を意味しているか。従来は簡単ではなかった戦略立案が、AI によって、価値として認められるレベルでできるようになったということです。少なくとも、見込み客が「お金を払ってでも詳しく聞きたい」と感じるレベルの分析が、短時間で生み出せるようになっているのです。
戦略を立てる人が、どっと増えていく
これからは、こういう変化があちこちで起きるでしょう。
中小企業の経営者が、自社の戦略を AI と一緒に組み立てる。コンサルタントが、複数のクライアントの戦略を並行して支援できるようになる。事業を起こしたい若い人が、最初から AB3C で考えた事業計画を立てられる。
戦略を立てる人が、どっと増えていく時代です。
これは、業界としては劇的な転換です。これまで戦略は希少資源でした。これからは、戦略を立てているかどうかで差がつかなくなり、**「どんな戦略を立てたか」「価値観に基づいた選択ができたか」**で差がつく時代になります。
戦略の民主化、と呼んでよいと思います。
そしてこの民主化の中で、本当に問われるのは何か。それはまた別のコラムで書きます。