COLUMN ・ 2026-05-05
時間をかけてやろうと思っていたことが、ついに結実した
権 成俊
時間をかけてやろうと思っていたことが、ついに結実した
戦略指南 AI のことを話すと、「最近のAIブームに乗って作ったんですか」と聞かれることがあります。
そうではありません。私たちが「AB3C 分析を AI にやらせることはできないか」と取り組み始めたのは、2年以上前のことです。
長く準備して、ようやく結実したものなのです。
2年間、できなかった
最初は、ChatGPT と Gemini で何度も試しました。
「AB3C のフレームワークに沿って分析してください」とプロンプトを工夫しても、なかなかきれいに出力されない。アウトプットはできるのですが、そこまでロジカルにはならない。どこか思いつきが強い、つまみ食いのような出力になってしまう。
調査・分析から積み上げて、論理的に AB3C を構築していくところまでは、なかなか辿り着けませんでした。
「やっぱり AI は、答えがあることじゃないとできないな」と限界を感じていた時期もあります。経営戦略のような答えのない領域は、AI には難しすぎる、と。
毎年1回くらい、新しい AI が出るたびに同じテーマでチャレンジしていましたが、結果は同じでした。
2023年末からの急進化
転機は、2023年の年末頃から始まりました。
各社の AI が急激に進化し始めたのです。特に Gemini の進化は、2024年の3月頃まで連日のように話題になっていました。私たちも、AI の使い方や発想を変えていかなくてはいけないと考え、よりクリエイティブな課題への活用を模索し始めました。
そんな中で、Claude を試してみる機会がありました。私たちにとっては Claude を本格的に使うのは初めてでした。
これまでと同じようなアプローチで AB3C 分析をやらせてみると、驚くほどきれいに書き出されました。
私たちのアプローチが大きく変わったわけではありません。プロンプトの構造も、与えるデータも、これまで2年間積み上げてきたものとほぼ同じです。変わったのは、AI 側でした。
これは、生成 AI そのものの進化が、この2年間で相当に進んだということを意味します。私たちが2年間かけて準備していたものが、AI の進化と出会って、ようやく形になったのです。
サポートツールが、本体になった
実は、戦略指南 AI は最初から「経営者向けサービス」として構想されたものではありませんでした。
私たちが当初進めていたのは、「オンライン秘書 Powered by AI」という別の事業でした。在宅で働くワーカーがオンラインで中小企業の社長のデジタル活用を支援する、という構想です。我々はその人材育成とマッチングをやろうとしていました。
ただ、オンライン秘書という事業には課題がありました。人によってスキルレベルがだいぶ違う、費用対効果も思ったほど高くない、やれることが経理や面接セッティングなどルーティンワーク中心になりがち。これを AI でブレイクスルーしようとしたのです。
候補者の人材育成のために、私たちは AI を使った AB3C 分析の補助ツールを作っていました。それが、いまの戦略指南 AI の原型です。
ところが、想定していた人材の獲得が難しかった。獲得した方も、在宅で初めての勉強をするのが難しいケースが多かった。「これは時間がかかるな」と判断したところで、ある考えが浮かびました。
サポートツールとして作っていたものを進化させて、経営者に直接使ってもらえばいいのではないか。あるいは、他のコンサルタントに提供すればいいのではないか。
それでリファインしたものが、いまの戦略指南 AI です。
結実、というしかない
振り返ると、戦略指南 AI は、いくつもの偶然と準備が重なって生まれた事業です。
- 20年以上前から積み上げてきた AB3C フレームワーク
- 2年前から続けていた AI への AB3C 適用の試行錯誤
- オンライン秘書事業のための補助ツール開発
- 2023年末からの生成 AI の急進化
- Claude との出会い
このどれか一つが欠けていても、いまの形にはなっていません。
「時間をかけてやろうと思っていたことが、ついに結実した」。そう表現するのが、一番正確な気がしています。
事業は、こういう形で生まれてくることもあるのだと、自分自身も改めて学んでいるところです。