設立趣意
デジタルを活用できていない日本企業
いまやすべての事業者にとって、ウェブ・AIの活用は必須となりました。
自社のウェブサイトはもちろんのこと、各種ソーシャルメディアや業界ごとのポータルサイト、Googleビジネスプロフィール※1、スマホアプリなど、事業者が運用管理しなければならないウェブメディアは増え続けています。
また、AIによる社会の急激な変化によりコンピューターと人の労働の垣根が変わり、人がすべき仕事の定義が強制的に書き換えられています。
しかし、ほとんどの事業者は、ネット・AIによる社会の急激な変化に対応できていません。単なる集客の道具や作業を効率化するツールとして使うだけでなく、新しいニーズが生まれる市場としてとらえなおし、その攻略方法を考えるべきです。
DXはデジタルを前提としたビジネスモデルの刷新
昨今、政府さえもDX(デジタル・トランスフォーメーション)の必要性を声高に叫ぶようになりました。DXとは社会のデジタル化という環境変化への対応です。従来のビジネスモデルのままで、そのプロセスをデジタル化しても、業績へのインパクトは限られています。変化の速い現代において、ビジネスモデルそのものが環境とのミスマッチを起こしているのです。だからこそ、デジタル社会を前提に、ビジネスモデルそのものを問い直す、破壊的なイノベーションが必要です。それがDXです。
この破壊的な環境変化は大企業のみならず、個人事業主などの小規模事業者にもビジネスモデルの見直しを迫っています。DXをはじめとする、デジタル環境への対応、中でも小規模事業者のデジタル活用の中心であるネット・AIの戦略的な活用を支援する専門家が必要です。これを行うのがウェブコンサルタント・AIコンサルタントです。
ウェブコンサルタントの必要性
私は2002年よりウェブコンサルタントとして創業しました。日本国内のウェブ業界の変遷を体験してきたものとして感じるのは、日本のウェブ業界はデザインやコーディングに寄りすぎている、ということです。ウェブに限った話ではありませんが、事業にインパクトを与えるのは、「どうやるか」よりも「何をやるか」です。ウェブサイトを作る前に、誰に向けてどんなウェブサイトを作るか、それが事業にどのようなインパクトをもたらすか、という議論が必要です。しかし、ほとんどの事業者はこの議論が無いままに、経営者や担当者の直感でウェブサイトの仕様を決めてしまいます。また、それを支えるプロの多くがウェブ制作会社や集客をメインの領域とするウェブマーケティング会社であり、クライアント側のビジネスに深くコミットする力が足りないのが実情です。
その課題を解決するためには、事業とウェブ活用をつなぐ専門家が必要です。日本国内には380万社の企業があります。そのうちの1/3がコンサルタントの支援を必要とし、コンサルタント1名が10社を支援するとしても、13万人のウェブコンサルタントが必要になる計算です。税理士の有資格者が7万人程度であることからも妥当な見込みで、経営に寄り添う専門家として、毎月のミーティングを行いながら、事業改善を進めていく姿がイメージできます。
このような状況下において、私たちはウェブコンサルタント育成のために2018年10月に一般社団法人ウェブコンサルタント協会を設立しました。デジタル化が進んだ現代企業の経営課題を解決していくために、ビジネス+デザイン+デジタル(中でもウェブが中心)を俯瞰し、適切な戦略、戦術、運用を提供していく人材を育成します。
ウェブアドバイザー・AIアドバイザーという働き方
また、大企業よりも小企業や個人事業主を主な対象としたウェブアドバイザーという新しい働き方を定義し、その啓蒙に努めています。このウェブアドバイザーは、在宅勤務を望む方になじむ働き方として、日本国内の働き方改革を推進するヒントにもなると考えています。さらに、長期的な展望としては、ウェブアドバイザーは消費者や個人事業主のデジタル活用の相談窓口として、デジタル化のラストワンマイルを埋める重要な立場になることを想定しています。
さらに、2025年にはAIアドバイザー資格を創設しました。ウェブの集合知をベースに生まれたAIは、ウェブと同じく社会を大きく変革することでしょう。すべての人が活用すべきですが、国民の高齢化の影響もあり、個々人のデジタルリテラシーには大きなばらつきがあります。AIを使いこなせる人と使いこなせない人の差では人生、生活にかなり大きな差が生まれるはずです。この差を縮めるためにも、AIの活用を支援するアドバイザーが必要です。
多くの支援者とともに
デジタルの普及に伴い、私たちの役割はますます拡大していくでしょう。私たちの取り組みはまだ始まったばかりです。同じ志を持つ方々との出会いを願い、日本経済の復興に向けて力を尽くして参ります。
2018年10月11日 初稿
2025年7月22日 修正・加筆
代表理事 権 成俊