【6月24日再演あり】花ギフトECをV字回復させたビジネスモデル再構築 イベントレポート

「広告もせずに利益が3倍?」「アクセス数はそのままで売上アップ?」信じられないかもしれませんが、それは“伝え方”を変えただけの成果でした。
本記事では、2025年6月10日に開催されたセミナー「サイトリニューアル失敗からの逆転劇!」の内容をもとに、ECサイト改善に悩むすべての方に向けて、その実践知をお届けします。イベント概要のページはこちら
信じて進めたリニューアルが、思わぬ危機を招いた。
「想いを届ける花束」をコンセプトに、ファンを集めてきた花ギフトEC「はないも」。
ある年、大手制作会社とともに進めた2年がかりのサイトリニューアルが、意図せぬ方向へと進んでしまいました。丁寧につくりあげたはずの新サイトでしたが、公開後、アクセスと売上が減少。
「購入者の想いに寄り添う」という本来の魅力が、ユーザーに伝わりにくくなってしまっていたのです。
原因は、設計・導線・SEOなど多くの要素が複雑に絡み合っていたことにあります。
ECの運営現場に知見が乏しい状態では、どこからどう改善すべきか判断が難しく、日々の業務に追われるなかで、店舗側も悩みを抱え続けていました。
集客ではなく「価値の伝え方」から見直すという選択
そこで私たちが提案したのは、「まず“伝え方”を整えること」。新しい広告も、特別なキャンペーンも一切なし。限られたリソースで、価値の再構築に取り組みました。
軸としたのは「一輪一想(いちりんいっそう)」贈る花の美しさではなく、贈る人の想いを伝えることに焦点を当てたコンセプトです。

その思想を、サイト構成・商品設計・メッセージカード・文例ライティング・カートUIにまで丁寧に浸透させる。すべての要素が「その想いにふさわしい体験を提供するため」に再設計されたことで、購入単価やサービス選択率が目に見えて変わっていきました。
具体的には、以下のような改善を進めていきました
- 商品ページに“想いを添える”オプション導線を追加
- 無償サービスの位置づけを整理し、届けたい想いにふさわしい設計へ
- 注文の導線を整え、迷わず選べる仕組みを工夫
限られた期間とリソースの中で、何が本質的な改善につながるかを一緒に考え、小さな工夫や見直しを積み重ねていきました。大きなリニューアルではなく、“伝わり方”を丁寧に整える作業。それだけでも、少しずつお客様の反応に変化が現れはじめました。
AB3Cで掘り起こした、“届けたい想い”の構造
改善のプロセスでは、「AB3C」という整理法を活用。「花を贈る理由」や「贈られる相手に何を感じてほしいか」という、ギフトならではの文脈に立ち返ることで、単に“モノを売る”のではなく、“想いを届ける”という価値の整理につながりました。
この考え方は、どの業種でも応用が可能です。本来の強みや背景にある「なぜ、これをやっているのか?」という問いに向き合い、そこから伝え方を見直すことで、自然と“選ばれる理由”が浮かび上がってくるのです。
AB3Cとは「顧客にどう価値を届けるか」を整理するためのフレームワークで、Customer(顧客)・Company(自社)・Competitor(競合)に加え、Benefit(価値)とAdvantage(優位性)の5要素で構成されています。単に商品やサービスを説明するのではなく、「誰に・なぜ・どんな価値を届けるのか」を言語化し、選ばれる理由を明確にすることが目的です。詳しくはこちら

「任せる」から「ともに進む」へ——関係性を見直したプロジェクトのかたち
パネルディスカッションでは、店主の鈴木咲子さんが、これまでの経験と今回のプロジェクトを重ねながら、率直な思いを語ってくださいました。
「前回お願いした制作会社さんのことは、最後まで信じて任せきっていました。でも今思えば、“ちゃんと同じ景色を見られていたか”はもっと確認すべきだったなと感じています。」
一方、今回の再構築では、10年前にもプロジェクトをご一緒していたこともあり、進む方向に対する信頼感があったと言います。
「不安がなかったのは、“この人はきっとこういう森に進んでいくんだろう”って想像できたから。ただ10年前と違って今回は、それだけに頼らず、自分もちゃんと考えてついていこうと意識していました。」
依存ではなく、自分も装備を整えて並走する。価値観の共有があったからこそ、「不安はなかった」と言い切れる関係性が築かれていたことが、実は今回の短期間でのプロジェクトの安定感につながった。
参加者の声(一部抜粋)
- 「“センスがいい”以上の価値をどう伝えるか、その整理のプロセスがわかりやすかったです」
- 「導線やカートの設計など、細かい工夫に納得感がありました」
- 「“誰に・どんな価値を届けるか”を考える重要性に気づかされました」
編集後記
「ちゃんと伝えれば、選ばれる」あらためて、その当たり前を思い出させてくれる事例でした。機能やデザインの前に、伝えるべき“価値”は何か?今ある強みを、どう言葉にして、どう届けるか。今回のような成果が出たのは、そこを真剣に考えたからこそだと思います。
特別な予算や仕掛けがなくても、「伝え方を整えるだけ」でできることは、まだまだある。そんな希望を持てる話でした。この事例が特別な話ではなく、「あなたの現場でもきっとできること」として届いてくれたら嬉しいです。
【6月24日 再演決定】
サイトリニューアル失敗からの逆転劇!花ギフトECをV字回復させたビジネスモデル再構築セミナー「値上げが難しい」「自社の魅力を言語化できていない」そんな悩みを抱えるEC・中小事業者の方にこそ、届けたい内容です。
イベント概要
- 日時:2025年6月24日(火)19:00〜20:30(開場 18:30)
※終了後、懇親会あり(20:30〜22:30)
- 会場:一般社団法人デジタル経営革新協会 会議室
〒114-0015 東京都北区中里1-15-2 大河原ビル2F
- 定員:10名(事前申込制・先着順)
- 参加形態:会場 or オンライン(※参加費共通)
- 参加費:5,000円(税込)